ケーブルカーとお寺

神社もそうですが、お寺の中には山の高い所にある場合が少なくありません。

急な山を登っていく乗り物と言えば、すぐに思い浮かぶのがケーブルカーです。今日は、ケーブルカーで行ける、あるいはケーブルカーを使わないと行きづらいお寺を紹介します。

<今日のお寺とケーブルカー>
宝山寺:全国でも珍しい複線を持つケーブルカー
比叡山:日本一長い路線のケーブルカー
鞍馬寺:宗教法人が所有する唯一のケーブルカー また日本一短い路線のケーブルカー

まず、奈良県生駒市にある宝山寺。このお寺は生駒山の中腹にあります。近鉄奈良線「生駒」駅から徒歩3分の「鳥居前」駅からケーブルカーにのり「宝山寺」駅まで行きます。その後は、約280段ほどの階段を登ると、お寺の山門にたどり着きます。

ここのケーブルカーは、日本でも珍しい複線です。一般的なケーブルカーは中間地点ですれ違う単線ですが、その単線が二本あるのです。ですので、複線と言うよりは並行単線という方がより正確です。すれ違い地点では、四本の路線が並ぶことになります(また、ケーブル路線であるのに、車が通る踏切やラッシュアワーがある、これも全国的にはかなり珍しい、と言われています)。

普段は、一つの単線しか使っていませんが、初詣などお寺への参拝者が多い時には、両方の単線を使うことになります。

「宝山寺」駅からは、また別のケーブルカー(単線のみ)が運行しており「生駒山上」駅まで行くことができます。生駒山上には、入園料が無料の遊園地があります。麓(ふもと)の「鳥居前」駅から多くの子どもさんが乗っている場合があるのですが、そのほとんどが「宝山寺」駅で乗り換え「生駒山上」駅までいくわけです。

裏技をご紹介いたします。宝山寺に行くには「宝山寺」駅で降りて約280段ほどあがる、これが普通の行き方です。ただ、足の悪い人や心臓が悪い人などは、できるだけ階段を上がりたくないというのが本音ではないでしょうか。こういう方の場合、「宝山寺」駅で、別のケーブルカー(生駒山上行き)に乗り換え、次の「梅屋敷」で降ります。そしてそのケーブルカーの踏切を渡り、150mほど歩けば(少し薄暗い山道ですが)、宝山寺境内の大師堂あたりに出てきます。大師堂は境内の高い所にあるので、階段を下っていくと、文殊堂や本堂の方に行くことができます。

次は比叡山延暦寺。比叡山は標高848mの山です。延暦寺に行くのに下から登る山道はありますが、約2時間かかるので、ほとんどの参拝者はケーブルカーを使います。

ふもとの「坂本」駅から山上の「延暦寺」駅までの乗車時間は11分。長いと思いませんか。それもそのはず。この路線は2025mと、日本で最長を誇るケーブルカーなのです。それだけ、高く上りますから、素晴らしい眺め(琵琶湖など)を楽しむことができます。

坂本駅に停車中のケーブルカー

最後は、京都の奥座敷と呼ばれる鞍馬にある鞍馬寺。このお寺へは、叡山電鉄鞍馬線の終点「鞍馬」駅で降りて歩いて登る、これが一般的です。駅から山門までは近いのですが、その後が少し大変です。歩いて登ると本殿まで約40分かかります。

しかし、山門から歩いてすぐの所にあるケーブルカーに乗れば(普明殿内にある「山門」駅)、時間を大幅に節約できます。このケーブルカーの路線は約200mと日本一の短さなのですが、90mの高さを一気にあがるので非常に楽です(所要時間は2分)。終点の「多宝塔」駅から本殿までは徒歩10分なのでほとんど疲れることはありません。

ただ、ケーブルカーに乗ると、歩いて登るコースの途中にある由岐神社に寄っていくことはできません。由岐神社は鞍馬の火祭りでよく知られている神社です。行きはケーブルカーで、帰りは歩いて由岐神社に寄ってお参りする、というのが良いかもしれません。

ちなみに、このケーブルカー、鉄道事業法で認められている路線のうち、宗教法人が唯一経営しているケーブルカーです。

由岐神社

コメント