メダルを逃してまでライバルを助けた選手の話

昨年は、東京オリンピックが開催された年となりました。日本選手団の活躍は素晴らしく、メダル総数が58個と過去最高の数を記録しました。

しかし、メダル獲得よりも尊いとされる実話が存在するのも、またオリンピックです。

時は今から58年前の、1964年開催の東京大会のヨット競技(セーリング)でのお話しです。

競技日の初日と2日目は穏やかな天候でしたが、3日目は北からの14.0mの強風(最大瞬間風速は15.0m超)によって天気は荒れていました。

レースが開始してから、強風は収まることもなく、出場するヨットの支柱や帆にダメージを与えました。棄権する選手が続々と出てくる中、スウェーデンのキエル兄弟(ラース・キエル、スリグ・キエル)は順調に快走、先頭集団のすぐ後ろにいました。

その時、前を行くオーストラリアのダウ・ウィンター組のヨットが突風で激しく揺れて傾いたかいなや、ウィンター選手が海へ投げ出されてしまいました。もう一人のダウ選手の方もかろうじてヨットにしがみついていました。ヨットは、そこから100mほど進みましたが、ついには横倒しになりました。

その時、すでに前方にいたキエル兄弟は、それを見て逆方向に走り出しました。なんと、オーストラリアの二人の選手を助けにいったのです。そのままゴールすればメダルは獲れたと言われましたが、キエル兄弟のヨットは11位に終わりました。

翌日、「これぞ人間愛の金メダル」というタイトルの新聞記事が掲載されるなど、この話でもちきりになったようです。当然、プレスからインタビューを受けたキエル兄弟でしたが「救助するのが当たり前、当然のルールを守っただけです」と答えました。

後日、オリンピック組織委員会から、彼らの功績を称えて「東京トロフィー」が授与された。

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