毛原は、三重県との県境に接する奈良県の北東部、山添村にある集落です。
心地よい風が吹く新緑映える季節に伺いましたが、家屋はあっても人の気配があまり感じられない、秘境的な地域という感じがするところでした。
さて、この集落には、東大寺と関連が深いとされるお寺があったとされています。この地域で伐採される木材が、すぐ近くを流れる笠間川を伝って奈良まで運ばれました。つまり、ここで採られた木が東大寺建設に用いられたわけです。
当時を忍ばせるものとして、金堂、中門、南大門の礎石が残っています。礎石のみが残っているわけですが、その礎石の大きさから、立派な伽藍を持つ大きなお寺と推測されています。
もちろん今は、その面影もまったくありません。ただ、1000年以上も前からあるこの礎石を眺めていると、杣人たちが木を伐採し、平城京に送り出している姿が目に浮かんで来たりもします。
以前より、訪れたいという気持ちがありましたが、この日、かなう形となりました。
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