ザナルディ選手は、2012年のロンドンパラリンピックと2016年のリオデジャネイロパラリンピックでのハンドサイクルで金メダルを獲得したパラアスリートです。
ハンドサイクルとは、足に障害を持った人が手でこぐことのできる三輪自転車のことで。競技では、80kmほどのスピードが出ます。
ザナルディ選手はどうして足に障害を持ったのでしょうか。それは自動車事故によるものでした。2001年、CART選手権(自動車レース)で時速約320kmでクラッシュ、両足の切断を余儀なくされたのです。
その後も特殊仕様のマシンでレースを続けていましたが、ハンドサイクルに転向。
2012年にパラリンピックのイタリア代表に選ればれたザナルディ選手は、ハンドサイクルの二つの競技(タイムトライアル・ロードレース)で金メダルを獲得します。
この時に語ったとされるのが「この歳(45歳)になって、こういう経験ができた自分は、幸せ者である」という言葉です。
ある年齢以上の方であれば、イタリアのザナルディという名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。そうです。1990年代F1に参戦したあのアレッサンドロ=ザナルディです。
世界最高峰のカーレースに参加するも、両足切断という大悲劇を体験、そして、パラリンピックでの栄光。
人は生まれてくる前に、自分の人生のあらすじを大まかに決めてくると言いますが、これが本当なら、彼は栄光も悲劇も組み込んだ紆余曲折のストーリーのすべてを、人生の経験として受け止めるのことのできる偉大な魂ではないでしょうか。私にはそのように感じられます。
2020年、再び彼は悲劇に襲われました。イタリア国内のハンドサイクルのレースに、トラックと衝突しました。容体はおもわしくないようです。
しかし、今年少し回復の兆しがあるという話も出てきています。
彼の復活を願いますが、そうであろうとなかろうと、ザナルディ選手本人はすべて経験と受け止めているかもしれません。
人生はチャレンジなのです。
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