2011年3月11日に起きた東日本大震災。多くの命が奪われただけではなく、近親者やかけがえのない友人などを亡くした人々にとっては、今も忘れることのできない悲劇となっています。
そんな中、わずかながら心温まる話も聞こえてきます。例えば、すべて津波によって流されてしまったはずのもの、つまり自分や家族の大事な写真など大切にしていたものが、押し寄せる波によって、海岸に打ち上げられ、そして、それらのものを再び手にできる些細な喜び、そのようなエピソードです。
今日は、津波によって破壊された鳥居の一部が、アメリカに漂着した後、日本に送り返され、4年7か月ぶりに再建されたというお話を紹介したいと思います。
場所は、青森県八戸市の大喜久エリア。津波によって厳島神社の鳥居が破壊され、鳥居が海に流れ出ました。この鳥居の一部(笠木と呼ばれる部分)は何と、太平洋を渡り、7000km先のアメリカポートランド州オレゴンの浜辺に漂着したのです。
その後、善意のアメリカ人によってポートランドの日本庭園に運び込まれ、アメリカ在住の学芸員内山氏が、どこから流されてきたものかを長きにわたって調査しました。その結果、青森県八戸市の大喜久エリアの厳島神社の一部であることが判明。
現在、大喜久の種差海岸(たねさしかいがん)に、立派に再建されたこの鳥居と神社は、ここで再び、海で働く人々を見守る存在となっています。
「目に見えない力」の存在を感じさせるエピソードではないでしょうか。
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