伊賀は、古より人々の隠れ里でした。
平安時代の貴族は都の喧騒から逃れるために、この地にやってきて、休めていました。
今回、ご紹介する常福寺は、このような伊賀地方の神戸(かんべ)集落にあります。
東海36不動尊の第27番札所にあたりますが、この巡礼は平成になって創設されたためか、名古屋を中心とした東海地方以外の方にはほとんど知られていません。
36の札所のうち、最も西側にありますので、関西の人間からは最も行きやすい場所となっています。
ここの本尊が、不動五尊像なのですが、普段は一般公開されていないのですが、年に数日、開扉されている日があります。それが、1月1日~3日、4月3日、8月18日です。
創建は722年(養老六年)で奈良時代の初期です。
開基は、西国33か所を創始した徳道上人です。上人は自らが開基の長谷寺にて、本尊の十一面観世音菩薩が造立された際に、二人の仏師にその余材を用いて五大明王像を造るよう命じられました。これらの仏像は聖武天皇に上奏されましたが、ここのお寺が勅願寺となり、そして、ここのご本尊となっています。
平安時代初期には、興福寺の末寺であり、相当有力な寺院であったようです。
天正伊賀の乱において、ことごとくお堂が焼かれましたが、本堂だけが助かりました。
その後、紀州根来より宥俊法印(中興の祖)が入山し1615年(元和元年)にお寺を見事に復興させました。徳川政権下においては、藩主藤堂家の祈願所として栄えました。
現在も、伊賀市(旧上野市)や、名張市の上小波田・下小波田地区に檀家さんがありますが、時代が移り変わると共に地区外の檀家さんが増えてきています。
このあたりの地区や集落から大変信頼の厚いお寺のように感じられました。
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