親孝行にまつわる話はたくさんありますが、本日ご紹介するのは、奈良県葛城市に伝わる孝女「伊麻」に関するお話しです。
時は江戸時代の初め。貧しい農民の子として生まれました伊麻は、幼い時に実の母親に先立たれました。そこで、父・長右衛門は後妻をめとりましたが、この後妻が伊麻とその弟に酷い仕打ちを与えました。
二人のことを案じた父は、二人を働きに出し、自分たちは大坂の方に引っ越しをします。しかし病弱であった父はあまり働くことができず、結局、この後妻に捨てられてしまいます。父のことが心配になった、伊麻と弟は大坂へ父を迎えに行き、その後この地に戻りずっと面倒を見たのです。
ある日のエピソード。父が流行病(はやりやまい)にかかりなかなか治りませんでした。「この病に鰻が効く」と噂で聞いた伊麻でしたが、この内陸の地では鰻なんか手に入りません。しかし、朝起きてみると、大きな水瓶の中になんと鰻がいたのです。この鰻を父に食べさせたところ、父は元気を取り戻しましたのでした。
大変親孝行であった伊麻の話を聞いた郡山城主の本多内記も、伊麻に多くの褒美を与えたと言います。
また、この話に感銘した松尾芭蕉も、晩年の伊麻を訪れたと言われています。
本日は、奈良県葛城市に伝わる孝行娘「伊麻」のお話でした。
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