神社の中の鏡

本殿の中には必ず鏡があります。それは神様そのものであり、畏れ多い尊きものです。お祈りをするため本殿の前に立ちますと、その鏡を通して自分の姿が映し出されるような所に鏡が据えられている神社があります。そのような神社はあまり見ることはありませんが、いろいろな神社にお参りしていますと、そのような神社に出くわします。

そのうちの一つが、福岡県の香椎宮(かしいぐう)です。香椎宮は、今では数少ない勅祭社の一つで、十年に一度、天皇より勅使が遣わされる由緒ある神社です。境内はやや広く、開放的な空気に包まれています。ここから北の方へ5分ほど歩いた所に、昭和の名水百選に選ばれた「不老水」があり、その水を求めて多くの人がここに来られます。

では、なぜ鏡は参拝者の姿を映し出すような所に据えられているのでしょうか。普通、鏡は我々の体(特に顔)を映し出すものですが、神社の鏡はそのような目的のためにあるではありません。神道の教えによれば、我々の本質は神様の分け霊(わけみたま)なのですが、普段の生活の中で、人はつい物質的なものや社会的名声・評価に目を向けてしまいます。本当の自分とは何かを見出すため、神社には鏡が置かれているといいます。

神社にお参りした際には、自分の霊(みたま)がしっかりと映し出すことができるように、日常生活において心身を清らかに保ちたいですね。

<神社データ>
・場所:福岡県福岡市東区4-16-1
・主祭神:仲哀天皇・神宮皇后・応神天皇・住吉大神
・特記事項:近くに昭和の名水百選「不老水」あり

勅祭社:天皇の遣いである勅使がお越しになる神社のこと。

補足:香椎宮と同じように、自分の姿を映し出すような位置に鏡が据えられている神社として、奈良県葛城市の一言主神社(ひとことぬしじんじゃ)があります。近隣の方は参られてはいかがでしょうか。

<神社データ>
・場所:奈良県御所市大字森脇432
・主祭神:葛城之一言主大神(かつらぎのひとことぬしのおおかみ)、幼武尊(わかたけるのみこと=第21代雄略天皇)
・特記事項:東へ400mほどの所に「片上醤油」がある。

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