観音菩薩像は比較的多くのお寺で見ることができる仏像ですが、その時、観音菩薩がどのような姿勢でいらしゃったか想像してみてください。おそらく、すらっとした立ち姿(立像)ではなかったでしょうか。
また、如意輪観音のように、片足をたてて坐っておられるお姿(輪王座)を思い浮かべた方も多いかもしれません。
しかし、珍しい例ではありますが、正座をされている観音様がいらっしゃるお寺があります。この正座のお姿は大和座りと言います(正しくは跪坐といい、実際は少し腰を浮かせて前かがみになっているお姿です)
私にとって最も印象が強いのは、即成院(京都市東山区)。このお寺は泉湧寺の入り口にあるお寺です。境内はこじんまりとしていますが、本堂の中の仏像群に圧倒されます。仏像を五体ほど安置するとほどよい空間に、阿弥陀如来座像を中心に、大和座りをされている観音菩薩像と勢至菩薩像、この両脇侍(わきじ)を含め25体の菩薩像が一同にそろっています。たいへん見応えがあります(向かって、左手前には、二十五菩薩には入らない如意輪観音様もいらっしゃいます)。
大和座りで一番有名なのは、京都大原にある三千院の極楽往生院です。大きなお堂ではないのですが、阿弥陀如来像の脇侍として、大和座りをされた観音菩薩像と勢至菩薩像を見ることができます。この三体の組み合わせは阿弥陀三尊と呼ばれますが、ここの阿弥陀三尊はサイズも大きく国宝です。
あと、萩の寺で有名な白毫寺(奈良県奈良市)。近鉄奈良駅から春日大社まで歩くのは余裕だというような健脚の方であるなら、その気分ついでで歩いていける距離にあります。
最後に、京都市中央区にある廬山寺(ろざんじ)。紫式部にゆかりのあるお寺としても知られています。2月3日の節分の日には多くの観光客でにぎわいますが、普段はそんなに観光客が多い所でありません。私が訪れた時、私も含め何か飴のようなものををふるまっていた、と記憶しています。それゆえ、ここのお寺の人は、親切という印象があります。
仏像は、なかなかと興味深いですね。私も機会があれば、また、この大和座りをされた仏様に会いに行こうと思っています。
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