奈良市の常光寺は、あまり有名なお寺とは言えません。巡礼の札所でもありませんので、参拝客が多く訪れるお寺ではありません。
また、単立のお寺であるため、檀家さんもなく、押熊という集落にひっそりと佇んでいるお寺です。
江戸初期に正洞律師、この地に小さな庵を建てたのがこのお寺の始まりと言われています。
しかし、このお寺は宝山寺の奥ノ院と呼ばれ、宝山寺中興の祖である湛海律師(たんかいりっし)によって作られた大聖不動明王三尊像がご本尊となっています。不動明王の脇侍の制吒迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)が、まるで生きているかのような感じです)
それから年に一度だけ開扉される(6月6日)秘仏の歓喜天像があります。これも 湛海律師の作ですが、制作年代が江戸時代であるにもかかわらず、鋳造で造られています。
他にも、同じく湛海作の弁財天像、愛染明王像(湛海作(伝))があります。
毘沙門天像は、半跏踏み下げ像となっており、極めて珍しい作風となっています。
狭い所に数多しの仏像群ですが、紹介しきれません。あの仏像評論家であるみうらじゅん氏もこのお寺を訪れ、絶賛されていたとか。
本日は、奈良市押熊にひっそりと佇む常光寺をご紹介しました。
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