西国三十三ヵ所巡礼における33の札所は、一つの例外を除いて近畿2府4県にあります。
その例外が、岐阜県にある谷汲山華厳寺(たにくみやけごんじ)です。
住んでいる所にもよりますが、近畿地方におられる多くの人々にとっては最も遠い札所ではないか、と思います。それだけに、お参りできた時の喜びは一塩かもしれません。また、その遠さゆえにここで満願結願となる方も多いと思います。
このお寺の開創にまつわるお話です。奥州に住む大口大領という人が、十一面観世音像を建立したいと思い、それに縁の有る霊木を苦労して手に入れました。その霊木を持って京都に上り、何とか観音像を完成させました。大領はその像を持って奥州へ帰ろうとしたのですが、何とその観音様が途中でわらじを履いて自ら歩きだしたのです。途中、美濃国赤坂(現在の岐阜県大垣市赤坂)にさしかかった時に、立ち止まり、観音様は大領に、これより奥州の地には行かず、ここから北の方へ少しばかり行った所が縁のある所なので、そこで衆生を救うためにとどまる決意であることを告げます。
この北の方に少し行った所が、今の谷汲山なのです。
この地にいた聖なる豊然上人と力を合わせ、山を切り開いてお寺を建てました。このようなわけで、華厳寺の開基は、大口大領と豊然上人となっています。
以前、一度、訪れたことがありましたが、バスツアーでしたので、せわしく本堂にお参りしてすぐにバスに戻ってきた感じでした。
今回は、本堂にまでまっすぐつながる参道をかみしめながら、ゆっくり歩き、お参りさせていただきました。
この日は平日でしたので、参拝の方も少しでした。
満願堂前に建てられてあるタヌキさんですが、満願をいただいた者は「他(た)を抜く」存在であるゆえに、タヌキさんが建てられているそうです。
やはり、谷汲山華厳寺は満願結願を頂くのに、ふさわしいお寺だと改めて感じました。
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