岩間寺(滋賀県大津市)を訪れました。今回が二回目です。
前回、西国三十三か所巡礼で訪れたのですが、近くの石山寺や三井寺を訪れる予定を立てていたためか、このお寺での滞在時間は実に短かったと記憶しています。
今回は、このお寺だけでしたので、ゆっくりとお参りすることができました。
このお寺の創建は、奈良時代の初め、養老年間までさかのぼります。加賀の白山を開いた泰澄は、役行者と同格の大呪術師でしたが、その法力で第44代元正天皇の難病を完治させてしまいます。その褒美として建立が許されたのがこのお寺です。
泰澄は、岩間山で千手観音を刻み、その胎内に元正天皇の念持仏を納め、ご本尊としました。このご本尊は、日没になると厨子から抜け出て、百以上の地獄をめぐり数多くの魂を救済、そして明け方には厨子に戻られていたとのこと。その時、かなりの汗をかかれていたため「汗かき観音」と呼ばれています。
ご本尊は本堂に安置されていますが、その両脇侍も泰澄作の吉祥天と婆藪仙人(ばすうせんにん)です。婆藪仙人が脇侍というのは、かなり珍しいのではないでしょうか(実は、類例がほとんど少ない千手三尊ではないかと言われています)。千手観音の眷属である二十八部衆の一人で、普段は穏やかなのですが、キレると怖い仏様とされています。
本堂横には芭蕉の池があり、句碑「古池や 蛙飛び込む 水の音」が建てられています。ここを訪れた芭蕉が、ここでこの句を詠んだ、あるいはその着想を得た、というように言われています。
本堂の右横には不動堂があります。
また、このお寺には「雷神爪堀湧泉」と呼ばれる霊泉があります(1ℓは400円、500mlは300円で販売されています。1ℓ3本では1000円です)。これには、以下のエピソードが関係しています。
創建当初、雷がよくこのお寺に落ちたため、泰澄が雷様にそのわけを聞いたところ、雷様はどうやら泰澄の弟子にしてほしいとのこと、泰澄は、この地に雷を落とさないことを条件に、弟子入りを許可します。また、この地は水不足でしたので、雷様は自らの爪で井戸を堀り、枯れることのない湧き水を得たと言われています。
この湧泉は、お寺入口の左側の下方にあります。アクセスできる階段が二つあります。
西国三十三所巡礼12番札所の他、ぼけ封じ近畿十楽観音霊場4番札所、びわ湖百八霊場湖西二十七古刹第2番札所にもなっています。
比較的こじんまりとしているお寺ですが、見るべきものがたくさんお寺でした。
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