不空羂索観音菩薩(ふくうけんじゃくかんのんぼさつ)

観音菩薩は六つの姿に形を変えるといいますが、そのうちの一つが不空羂索観音菩薩です。六道のうち人間界にいる人々を救う仏様であります。

不空とは願いは必ず叶えられるので空しくなることはないという意味です。また、羂索(けんじゃく)とは、この仏様が手に持っている縄のことであり、これで迷い苦しむ全ての人を一人残らず助けることができると言います。

有名なのは、東大寺法華堂(三月堂)所蔵のものです。一面三眼八臂の立像です。同じ所に他の仏像群(梵天・帝釈天など)も安置されていますが、そのお姿はなかなか迫力があります。東大寺の建物はそのほとんどが後の時代に再建されたものですが、法華堂(三月堂)は鎌倉時代に増築されたものの、奈良時代から残っている建物です。

不空羂索観音菩薩は、十一面観音菩薩と比べて作例があまり多くありません。ですので、私もあまり見かけることは多くないのですが、唐招提寺のものも立派です。不空羂索観音菩薩は、一面三眼八臂が主流なのですが、ここは一面四臂です。

やはり不空羂索観音菩薩といえば、何と言っても興福寺南円堂ではないでしょうか。像容が大きく立派の一言です。南円堂は、国内国外問わず多くの観光客が訪れる所であり、私自身このあたりの雰囲気がとても好きです。

南円堂のこの仏様は、普段は見るとはできません。一年に一回のみ開扉(かいひ)されるからです。さて開扉される日ですが、実は明日10月17日です。これは毎年この日と決まっているようです。明日は土曜日ですので、少し、時間がある方は、訪れられてみてはいかがでしょうか。

興福寺南円堂

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