光背とは仏像の後ろに付けられている装飾物です(仏の世界では、装厳具(しょうごんぐ)と呼ばれています)。
仏様は基本的に光まばゆい存在ですから、立像にせよ座像にせよ、そこから光が表れてくるわけですが、それを表したものが仏像本体の後ろに付けられる光背なのです。
つい仏像そのものに目がいきがちですが、向背には様々なものがあり、違いがわかってくるとかなり面白いのではないか、と思います。
以下、光背の種類について記します。
大きく分けて、挙身光(きょしんこう)と頭光(ずこう)があります。
挙身光(きょしんこう)
挙身光とは、仏様の全身を包むような光背のことを言います。
挙身光には、蓮弁光(れんべんこう)や火焔光(かえんこう)などがあります。
蓮弁光が最も多いのですが、仏様が立像の場合ですと光背は自然と縦長になりますので、その場合は舟のような形になります(舟形光と呼ばれます)。また、 蓮弁光の周辺に天女が飛び回っている姿がみられる場合、その光背は飛天光と呼ばれます。また、 蓮弁光全体に小さな仏様がちりばめられているような場合は千仏光と呼ばれます。
火焔光は、文字通り光背全体がメラメラとした炎で包まれているような形をしている光背です。不動明王の光背によく表れるものです。
頭光
頭光は仏像の頭から発せられる光を模したものです。
円光、放射光、宝珠光などがあります。
円光とは、仏像の後ろに現れるべき光が円の形として表されるものを言います。つまり、光の円です。聖観音菩薩などの観音菩薩様、あるいは阿弥陀如来などによく見られるような気がします。
放射光は、 仏像の後ろに現れるべき光が、中心から周辺に向かって放射状に延びていくような光背のことを指します。来迎阿弥陀如来や地蔵菩薩でよく見かけます。
宝珠光とは、如意宝珠(地蔵菩薩が手に持っておられる)と同じような形、いいかえれば桃の形をしたような光背のことを指します。
これから仏像をごらんになられる時は、光背がどのような形であったのかについて注意深く見ることも重要だと思います。今までに気づくことのできない、珍しい仏像に出会う可能性が強いと思います。
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